2023年4月5日水曜日

早春の都

 

辛いことが続き気持ちが折れていたので

こんなに遅くなってしまいましたが、

老後の楽しみ、記録しておかなければ、となんとか

書いてみました。


先月、三月花形歌舞伎に行ってきました。










行く予定ではなかったのだけど(先のことを考えて倹約倹約!)、

評判がよろしいし、

やっぱり鷹之資さんの定九郎が見たいし

口上人形さんたちにも会いたかったので。

(藤浪小道具さんのツイッターで、口上人形さんたちが

南座へ行く荷物の中に潜り込み成功!のあたりから

ああいいなあ、わたしも行きたいなあ、とは思ってたのでしたけど。)

新幹線で関西だと、ハードルは低いのであります。




平成生まれの俳優さんたちが、江戸式と上方式の違いを

見せてくれる、という画期的な趣向。

なぜそういう風になったのかは知らないのだけれど、

リアルな上方式と様式美の江戸式らしく

ほんとに、色々と違っていて、へえええ、というしかなく

じっとみとれてた。


最初に見たのが「Bプロ」。江戸式。

壱太郎さんの解説。





















解説に使われている写真がかつての名場面集、みたいな

感じでいちいち、おお菊五郎さん!吉右衛門さん!

時蔵さま!と心の中で叫んでおりました

(それが見たかった、みたいな。かわいそうなニワカ)。

大序より四段目までをその解説で理解して、

五段目、六段目へと。


勘平=右近さん

おかる=まるる(莟玉さん)

おかや=菊三呂さん

わたし、見たことあったと思っていたけれど、

多分、TVでぼんやりと見ていたのでしょう、

ほとんど覚えていなくて、

ほおお、まああ、こんな感じだったのか、と新鮮でおもしろい。

でも、吉之丞さんの定九郎が出てきたら!

鳥肌がっ!ぞぞぞぞっってなって、

「ごじゅううりょう……」 きゃああああ!

かっこいい!ほんとにかっこいい!

もうものすごく悪い人でかっこいい!

でも、六段目で、不破数右衛門で出てきた時は、立派な武士。

他にも、何役もやってらっしゃるみなさんもいらして、

ほんとに俳優さんすごいです。



そして翌日「Aプロ」上方式。

解説は右近さん。













壱太郎さんの珍しい立役。

(「権三と助十」での彦三郎さんをTVで見たことがあるくらい)

おかる=千之助さん

おかや=千次郎さん

にわかの率直な感想で言えば、上方式の方が好きかなと。

前日の江戸式は、なんだか冗長な印象だったの。

多分、必要な展開だったのだろうけれど、

特に、真っ暗な(はずの)山崎街道での、

暗闇ゆえのしぐさとかが

ものすごく長すぎる気がしたの。

というか、真っ暗設定なのだから、

もう少し舞台を薄暗くした方がいいのでは

と思った。普通に明るかったから、

真っ暗な場所なんだ、と気が付くまでに

ちょっとかかったよ(ニワカ)。


わたしは、上方式の、(比較的)さくさくと話が進んでいく展開が好き。

そして、千次郎さんのおかやさんに涙腺崩壊してしまった。

おかやさんが勘平をてぬぐいでバシバシたたいている姿に

涙があふれてきて。

いや、「Bプロ」の菊三呂さんおかやさんだってすごくよかったのだけど、

この時千次郎さんに涙してしまったのはなぜかしら。

前日のを見た影響が何かあるのかな。

よくわかりません。

でも、ものすごく期待していた、

このために来たと言っても過言ではない

鷹之資さんの定九郎、いや、かっこよかったんだけど

吉之丞さんみたいな鳥肌は、なかった。

ふむ。なぜでしょう……。

鷹之資さんを先に見ていたら、どう感じただろう、と

思うと、本当に舞台って一期一会なのねえ。


隅の方でひっそりと腹を切る勘平。

これが東西の一番の違いでは?

見てるわたしは、なんでなんでそんなすみで?

主役やろ?と思って涙が。

ほんと、違いすぎる。どう考えたらいいの?

と、見ている人たちに感動や涙や喜びの他に

色々考えるネタをも与えてくれた壱太郎さん&右近さんに感謝です。

Aプロ(上方式)にしか出てこない子守娘祥馬さん、かわゆいしいい感じだった。

後半の踊りの時も探してしまいましたよ。


後半は「忠臣いろは絵姿」。

「上の巻 花の山科」では七段目から十段目までを、

ぎゅっと凝縮して踊りで見せてくれます。

色々あるけど、文才がないので箇条書きでお許しを。

・ぱっと幕があがった時の華やかさ。これが歌舞伎!

・茶屋娘のおせんちゃん役の千之助さんの、

平右衛門役の男としての踊りがすごくよかった。

表情もよかった。いや、すごくかわいいの!

もうどうしてそんなにかわいいの!

おかるもすごくよかったのだけど、

ほんとうによかったのだけれど

おせんちゃん、かわいい。

すごくかわいいほんとうにかわいい(←うるさい)

・壱さんと千之助さんの人形ぶり、たのしい。

・右近さんの、「天川屋儀兵衛」のお面取り換え踊り、すごい!

楽しかった、っていうか、すごい。

よく考えたわねえ。演出の方すごい

(もしかして昔からよくある形でニワカが知らないだけなのかしら)。

それをさくさくとやってしまう

右近さんと後見の方。菊三呂さんだった?

・壱さんと右近さんのいちゃいちゃもかわゆらしく。

このおふたりからこの企画が始まったのだものね。

ありがとうございます。


で、わたしは、中村光さんを見つけたの。

お面売りの成吉のお役で千次郎さんの相方で。

レビューの司会役みたいな感じで、色々説明をし、

終われば端にさがってお酒飲まされたりするお役。

お声がいい。演技はお上手。なにより、お顔が好き!

お名前は知っていたけれど、実際に見たことはなく

この花形歌舞伎だから、チャンスがもらえたのでしょうか。

真ん中で壱さんとかが踊っていても

ついちらちらと光さんを見てしまいました。

ほんわかとした雰囲気で大石神社での花見パーティーを

千次郎さんとまとめてました。

ミーハー歴の長いわたしですけど

久しぶりに「見つけた!」感が。

見守っていきたいと思います(何様)。楽しみ!

(その後、二月歌舞伎座の「霊験亀山鉾」に出てらっしゃるのを

配信で知り、ぢっと見つめました、10秒位(x5回)。

六月博多座(地元)に鴈治郎さんが来られるので

もしかしたら連れてきてくれないかなあ、と期待しています!)


「下の巻 雪の討入」

最後は十一段目をかっこよい立ち廻りで。

鷹之資くんの小林平八郎、出てきた時からかっこよかった。

その後の立ち廻りもよかった。

なんかストイックな感じがいいのよねえ。

まるる、やっぱりもう少しやせてほしいなあと

思うけど、演技にはなんの支障もないのよねえ。

かわゆいし。おかるも千崎もすごくよかったし。

でもねえ、もちょっと(

壱さんの立ち廻り初めて見た。

最後、雪がどさっとみんなの上に降り注いで

切り口上の時にはみんなの頭に雪がのっかっていた。

すばらしかった。とてもとても楽しかったです。


本当に、忠臣蔵はいいわね。大好き。

今回の、江戸と上方の比較、すごくいい企画で楽しかった。

やっぱり、若い、花形俳優さんたちの知恵、大切よね。

これからもいい企画お願いします!


ロビーにいらした口上人形次郎さん。













太郎さんは、二幕目の初めに舞台に出てきて

いろんな話をしながらグッズの宣伝もしていらした。

色々調べたところ(ありがとう、ツイッター)、

しゃべってたのはうどん屋の「おかる」さん

大好き翫政さん、太郎さんを操っていたのは

佑次郎さんではないかと。

グッズ紹介のやつは佑次郎さんの手作りだとか。

すごい。ほんと、すごいです。

なんか、俳優さんみんなすごいです。


















入口で、ステッカーをもらえた。
銀色の袋に入ってて開けてからのお楽しみ、という
やつだったけれど、勝利!











赤穂から義士の介くんがいらしてた。

7月の巡業地に赤穂があるので観光がてら行こうかな、と

思うけれど、夏はツライよねえ……と悩み中。



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初日は早く着くようにして観劇前に奈良へ行ってきた。

奈良博で「お水取り」の展示があるというので

五月の歌舞伎座「達陀」のお勉強のために。

五月は明治座へ行くわけだけれど歌舞伎座の演目を見たら

梅枝さん青衣の女人を見ないわけにはいきませんからね。

色々と興味深い展示だったけれど、

過去帳に「青衣の女人」と書いてあるのを見て

おおお、となった。

何か絵姿でも、と思ったけれどそれはなくてちょっと残念。

梅枝さん、きっときれいだろうなあと期待してます。

群舞をなさる、という話の練行衆のみなさんも

いいメンバーでものすごく楽しみです!切符取れますように。








その後、興福寺国宝館で八部衆と久しぶりに会えて、

みんなあいかわらずおかわゆらしかった。

癒しです。

山田さまも、かわらず凛々しかった。


迷ったけれど、行ってよかった。

一期一会って、とすごく思った。

でもこればかりは仕方ない。

あるいは、ありがたい。

できることはやろう。

ね!